まずは糖尿病についての知識を深めましょう。
糖尿病はインスリン作用不足により、慢性的に高血糖状態になる代謝疾患です。
インスリンは体の中で唯一血糖値を下げるホルモンで、食後に血糖値が上がらないように調整する働きが
あります。インスリンは血液中のブドウ糖を細胞に取り入れる作用があります。そして余分な血糖は脂肪細胞に取り入れて蓄積します。いつも体が必要な分だけ食べていれば問題は起きないのですが、飽食によって過剰なカロリーを処理することが長く続くと、インスリンを作る膵臓のβ細胞が疲弊して機能低下して糖尿病が発症します。インスリンが不足すると細胞の中にブドウ糖が取り込まれなくなり、血液中のブドウ糖が使えなくなり、血糖が上がってしまいます。
糖尿病には1型と2型があります。
(1)1型糖尿病
自己免疫異常により、インスリンを合成する膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンの量が絶対的に足りなくなって、高血糖になります。子供の頃(8〜12歳)に始まることが多く(有病率は1万人に約1人)、生涯インスリン治療が必要になります。
(2)2型糖尿病
インスリンの出る量が少なくなって起こるものと、肝臓や筋肉などでインスリンの作用をあまり感じなくなるためにブドウ糖が細胞にうまく取り入れられなくなって起こるものがあります。糖尿病の95%以上を占め、40歳以降に起こりやすいタイプです。2型糖尿病は多因子遺伝で家族性で起こります。
2型糖尿病では、過食や肥満、運動不足などの生活習慣の乱れを、食事療法や運動療法で改善することで血糖値は低下します。食事療法や運動療法のみで不十分な場合には、インスリン分泌を刺激する薬剤やインスリン抵抗性を改善する薬剤、ブドウ糖の吸収を遅らせる薬剤が必要になります。
糖尿病の大きな問題は合併症です。
・もっとも早く出てくる糖尿病神経障害(手足のしびれ、けがの痛みに気付かない等)
・皮膚の病気、感染症
・脳梗塞、脳卒中、心筋梗塞
※糖尿病は高血圧、高脂血症、脂質異常症とリスク要因が重なります。
・糖尿病による腎臓障害で人工透析を始める人が年間1万5000人。
・糖尿病が原因で失明する人が年間3000人。
・年間1万4000人(平成19年人口動態調査)が糖尿病が原因で亡くなっています。
平成19年の国民健康・栄養調査では「糖尿病を強く疑われる人」は890万人もいますが、そのうち40%がほとんど治療を受けていないそうです。
糖尿病を放置すると非常に危険ですので、まずは検査を受けましょう。